絵画商法 二次被害 |
最初の契約から数ヶ月後、販売店から展示会の案内のハガキが届いた。それと同時に、担当者からも、お誘いの電話があった。 |
「原画が見られるチャンス。これを逃したら、もう二度と見ることもできない。」などと、販売目的を告げられずに呼び出され、展示会に出向いた。 |
担当者は、「あなたにどうしても見て頂きたい絵がある。」と言いながら、一枚の絵を持ってくると、目の前に立てかけた。 |
「この絵は、あなたが好きな○○画伯の原画なんです。」 |
「絵画にはランクがあり、一番ランクが低い物を『印刷物』、次が『版画』、そして最高ランクが『原画』となります。」「ちなみに、版画所有者を業界では『コレクター』と呼び、原画所有者を『所有者』と呼ぶんです。」 |
「本来、原画は1000万円〜4000万円以上します。しかし、300万円以上はローンが組めないので、1600万の絵を購入される方は、頭金として1300万をキャッシュで頂いているんです。」 |
「ちなみに、この原画はいくらだと思いますか?ちょっと考えてみて下さい。」 「・・・実はこの価格なんですよ。」と、140万と書かれた紙を見せられた。 |
「なぜこの値段かと言うと、うちで独占契約している画伯が、会社に無料でプレゼントしてくれた絵だから、税関費用しかかかっていないんです。」 |
「今回はこの原画を貴方に持ってもらいたい。」
「誰にも言わないでくださいね。」
「この作品を売る事が周りに知れたら、始末書ものなんで。」 |
「本来、原画は、ウチで版画を5枚以上買ったお客様か、社長の推薦が無ければ売ることができないんです。」 |
「では、なぜ貴方にこの絵を紹介したかと言うと、貴方が特別な感性を持つ○○先生の理解者だからです。だから社長に内緒で原価割れでも持ってもらいたいんです。」 |
「先日契約した一つ目の絵と、この絵を持つことで、一層価値が出てくるんです。」 |
「二つ目の絵を持たないと、意味がない。」
「○○さんにとって、もうこれ以上のものはない。」
「人生において最後の一枚にしていい。」 |
などと、原画を購入するよう勧誘が続いた。支払いが難しいと断ろうとしたが、 |
「お金は稼げば大丈夫。」
「ボーナス払いを組込めば、月々小額の支払いで済みます。」
「何とか切り盛りして。買えない範囲じゃ無いから大丈夫。」 |
などと契約を勧めてくる。それでも躊躇していると、当初140万円だったものが、みるみる値段が下がり、100万円になった。 |
「これ以上は下げられない。減額した金額は前の担当者にも言わないように。」等と、あたかも特別な減額であるかのような説明を受けた。 |
「こんな値段で原画が買えることなんて無いですよ。超お買い得です!」 |
「すごく価値のあるものです。シリアル番号を用意するのも特別なんです。」 |
などと長時間に渡り説得された。それ以上断る気力も無くなり、契約を承諾してしまった。 |
さらに3回目の勧誘が |
2回目の契約の際に、担当者は「もう勧めないから絵を買うのはしばらくお休みにしてね。」と言っていたが、しばらく経ってから、オーナー懇親会ということで、再び招待出された。 |
さすがに今回はもう勧誘は受けないと思っていたが、予想に反して、再び勧誘を受け、3回目の契約をさせられることになった。 |
このように、一度契約すると(クーリングオフしなかった場合)、展示会・原画展などと称して、何度も呼び出し、次々販売を(二次勧誘)行います。 |
二次勧誘の次は、三次勧誘、四次勧誘と、繰り返し勧誘が続き、「5回契約をさせられた」という相談もありました。一度の契約が、クレジット手数料も含めると100万円を越えることも多く、相当な金額になります。 |
その他、絵画展示会での勧誘、 |
呼出販売(アポイントメントセールス)による勧誘の場合もあります。 |
総じて言えることは、価格が非常に高額な点です。 |
クーリングオフ期間を過ぎてから価値を調べたところ、契約した金額の10分の1〜5分の1程度のものでしかなく、下取業者に査定してもらったところ、1万円〜5万円程度にしかならなかった、という相談がよくあります。 |
また、クーリングオフを申し出たところ、 |
「あなたは特別に割引きをしたので、クーリングオフは困る。」
「既に、額縁を作り始めたので、無理。」
「今クーリングオフされると自分の立場がかなり悪くなる。」 |
などと、クーリングオフを妨げられたという相談もあります。 |
キャッチセールス、アポイントメントセールスのクーリングオフ |
キャッチセールスや呼出販売(アポイントメントセールス)は、営業所等での契約で3Zwm<
例外的に「訪問販売」として、クーリングオフ制度の適用があります。 |
勧誘の不意打性から、営業所での契約であっても、消費者を保護する必要性があることに変わりは無く、クーリングオフ制度を適用対象としているわけです。 |
キャッチセールス、アポイントメントセールスは 「訪問販売」です |
法定書面(法定記載事項を記載した書面。契約書など)を受領した日から、8日間(受領した日の翌日からではありません。)は、クーリングオフを行使できます。 |
しかし、クーリングオフを行使する方法は、メールや電話などの「口頭」ではなく、
「書面」で行う事が、法律上明記されています。 |
また、「書面」は証拠の残らないハガキではなく、「内容証明郵便」の方が確実です。 |
もっとも、消費者よりも販売業者の方が法律を良く知っているのが通常です。上記事例のように、悪質な業者は消費者の法律の不知をいいことに、騙せる相手は、騙してしまおうとしてきます。 |
不実告知(ウソの説明)やクーリングオフ妨害行為があったとしても、後日その事実を証明することは困難です。クーリングオフ期間を過ぎてしまうと、解約する事は、非常に困難となります。 |